
パン と 風景 2
仙台市内のパン屋さんのリノベーションです。
元々は8坪で始めたパン屋さんが、手狭になり大きな場所に移転するという計画です。既存の大きなガラスの開口部を生かし、大きなカウンターを置き、道沿いからディスプレイされたパンを売っている様子や、パンを焼いている作業の様子が見えます。





メインのカウンターは、モルタルのカタマリが浮いたようなシンプルなオブジェの様な見え方をしています。天板は小さな穴の空いたステンレスのカウンターになっていて、パンの粗熱がとれ美味しさを保つ機能的なデザインになっています。



























ガランとした倉庫のような空間の真ん中に入れ子状のハコを配置し、売り場と作業場、その間の厨房の3つのパートに分けました。売場は、床のコンクリートを削り出したり、天井の鉄骨を塗装し、元あった倉庫のような魅力をミニマムに引き出しました。その背中には、古い赤レンガや、stained glass Ginga のビンテージガラスを使ったステンドグラスで新たなファサードを作り、その有機的なファサードを無機質なステンレスの厨房空間がザックリとボリュームをえぐり取るような開口部を持つデザインとしました。
外から見ると、幾つものレイヤーがかなさるような見え方になっています。(このデザインの中には、パン屋の名にもなっている『黄金比』がいくつも潜んでいます。)


道沿いからディスプレイされたパンを売っている様子や、パンを焼いている作業の様子が見えます。パンが織り成す魅力の詰まった新たな風景となりました。

レシオナイト







夜のパン屋。2024年から始まった、定休日の夜だけの特別な時間。昼の感じとまた違う、カウンター席で焼きたてのパンを食べられるバーの様なスタイル。
古いレンガにだけ間接照明をほんのり当てて、昼はパンが並べられる7mあるパンチングのカウンターは、ランタンを置いてバースタイルのカウンターテーブルになっています。普段裏方になるステンレス張りの厨房は、表裏が反転され、ライティングされ、パンを焼く、作る、職人の振る舞いがステキに見える舞台の様。 一般的にパン屋さんという形式はテイクアウトの短い時間で回転していく忙しい空間、それがゆったりとパンのこだわりや美味しい食べ方を聞きながら、一番美味しい焼きたてを食べる。良い空間で食べられるのはとても贅沢な時間。
- data
BAKERY GOLDEN RATIO
基本情報
- 所在地
- 仙台市青葉区堤町3丁目5−28 Cube北仙台 101
- 主要用途
- bakery
規模
- 主体構造
- 鉄骨造
- 面積
- 95.1㎡
工程
- 設計期間
- 2022年3月~2022年6月
- 工事期間
- 2022年7月~2022年9月
敷地条件
- サイン、ブランディング:BRIGHT inc.
- ステンドグラス:stained glass_ginga
- 床研磨:飯坂商店
メディア掲載
写真
後藤 荘太