
「Leather Lab. hi-hi」【ローカルズ~episode 6.~】
手作りが息づく5坪のアトリエ
母屋の隣に寄り添うように計画された、約5坪(約10畳)の小さな皮職人のアトリエである。建築的には最小限のボリュームでありながら、施主の制作活動を支える確かな拠点として求められた。限られた予算のなかで、単なる作業場を超えて「居心地の良いものづくりの場」をどう実現するかがテーマとなった。




空間の構成と考え方
コストを抑えるため、仕上げは極力省き「小屋」の状態で留める構成を採用した。ここにDIYによる棚や造作、ルーバーの外壁など、施主や仲間の作家が少しずつ手を加える余白を残している。設計段階で完結させず、むしろ「未完成」であることが、このアトリエの大きな価値となっている。空間はシンプルであるがゆえに、作業の動線や手の届きやすさが際立ち、素材の扱いや制作のプロセスが自然に空間へとにじみ出していく。









手仕事と共同のデザイン
棚や看板、手摺といった小さな部分を知人の作家たちが手掛け、空間はひとつのコラボレーションの場として広がっている。作ること自体がデザインのプロセスとなり、建築は「完成された作品」ではなく「共に手を入れていく媒体」として機能している。このアトリエは、ものづくりの手触りが建築全体に宿る場所なのである。







居心地とライフスタイル
完成度の高さではなく、過程そのものを楽しむ空間は、施主のライフスタイルと直結している。作業の合間にふと休むときも、手を動かしながら次のアイデアを思いつくときも、この小屋はいつも柔らかく受け止めてくれる。居心地の良さは設計の「精巧で緻密なこと」よりも、「自分の手で仕上げていく」という感覚から生まれている。

Leather Lab. hi-hi は、最小限の建築的枠組みとDIYの余白を掛け合わせることで、施主の創造性そのものを引き出すアトリエとなった。ここでは建築と工芸が地続きになり、使い手の手の動きがそのまま空間を形づくっていく。小さな5坪のアトリエは、作ることの喜びを映し出す大きな器である。

居心地の良い空間を自分たちで作り、そこで新たな作品を楽しみながら生み出していく、施主のライフスタイルのようなアトリエになりました。

- data
Leather Lab. hi-hi
基本情報
- 所在地
- 宮城県岩沼市
- 主要用途
- アトリエ
- 主体構造
- 木造 / 平屋
規模
- 敷地面積
- 329.51㎡
- 建築面積
- 16.15㎡
- 延床面積
- 16.15㎡
工程
- 設計期間
- 2017年11月~2018年1月
- 工事期間
- 2018年2月~2018年4月
敷地条件
- 特になし
インフォメーション
写真
LIFE WORK DESIGN








