プライバシーをハコに入れ、眺望がフタから抜ける平屋の家
仙台市の高台の住宅地に建つ、眺めの良い平屋の住宅である。
周りには緑も多く、住宅地の東の際にあることから、東側の崖越しに眺望が大変良い敷地であった。しかし、東西が市道に挟まれた敷地であり、プライバシーを確保しながら、眺望の良さを最大限に生かす、閉じながら開くような住まいを求められた。そこで、プライバシーの高い中庭やテラスのような半外部空間を内包する低めの『ハコ』と、庇がある『フタ』ような大屋根、それらを建ぺい率一杯まで広げ、『ハコ』から『フタ』をパカっと持ち上げたように見えるシンプルな建ち方とした。
回遊性 と 閉じながら開く
下階の『ハコ』には、寝室や水回りなどプライバシーの高い空間を配置した。旋回するように半階上がると、パノラマに眺望が広がるテラスを持つLDKに至る。さらにぐるりと半階上がると、子供の遊び場のロフト空間があり、更に猫はキャットウォークを伝い家全体を回遊することができる。
段々と旋回しながら上がるごとに、スリット状の開口部から眺望がグラデーションのように開けていく。
中心のコア部分は構造壁になっており、キッチン収納やトイレ、ピアノ置き場、おもちゃ箱が適宜配置されている。また、階段状の構成を利用して、ベンチのようなアイランドキッチン、階段状のソファースペースを計画している。
プライバシーの強弱や、天井の高い低い、眺望の抜け感、家具や段差との振る舞いなど、一繋がりの空間の中に様々な居場所があり、猫のように好きな居場所を見つけては転々と移動するような、伸びやかで居心地の良い回遊のある住まいとなった。
1階の空間
下階『ハコ』の部分は、客間、浴室、トイレ、寝室、ワークスペース、床下収納になっている。中庭が目隠しになっており、プライバシーが高い空間になっている。
夜景
夜景。上階は適度な立ち上がりが室内性を高め、落ち着いた空間ながら、外との繋がりを持たせている。
- data
SGA フタ+ハコ/回遊する住まい
基本情報
- 所在地
- 仙台市
- 主要用途
- 専用住宅
- 家族構成
- 夫婦+子供+猫
- 主体構造
- 木造 / 基礎 / べた基礎
規模
- 敷地面積
- 241.54㎡
- 建築面積
- 96.54㎡
- 延床面積
- 91.05㎡
工程
- 設計期間
- 2017年8月~2018年9月
- 工事期間
- 2018年10月~2019年3月
敷地条件
- 第1種低層住居地域
- 道路幅員 西6.0m東4.0m 接道14.452m
メディア掲載
写真
小関 克朗