1坪の茶室のような最小建築
富谷市内の田園風景の中に1坪半の小さなバス停を設計しました。
1日数本のバスの停車があり、近隣の子供が学校への登下校に利用することがほとんどになります。
以前のバス停は、3畳(1坪半)ほどの暗くて陰湿なイメージで、中に入るのを戸惑う子供がいたほどの古い小屋のようなバス停でした。
そこで、近所の大工さんがなんとか子供達に使ってもらえるように、手加工でできる小さなバス停を検討しました。
小さいこと と 身体性
まず、全部を内部化していた以前のバス停を見直し、内部を2/3(1坪)、庇で雨にかからない半外部の空間を1/3(0.5坪)確保し、外にいても雨に濡れない平面としました。道路側に大きな扇を開いたような形状にし、ガラスの建具を設け、角度を斜めに振ることで、視認性の良い、内部もよく見えるファサードにしました。内部は、待合しやすいように、Uの字の座りやすい形状のベンチを計画しました。手前は大人は立てることができ、奥は頭が当たるほどの高さでベンチに座るとちょうど良い高さになっています。
手刻み
一般的なXY軸の単純なプレカット機でできる木加工とは違い、斜め軸の高低差を作るにあたり、ほぼ全て大工さんの手加工の手刻みの技を使って作られています。垂木材も扇の根元で全ての垂木が集中するため、手加工で1本1本加工しています。
近所の子供達に親しみを持ってもらえる茶室のような、可愛い見え方のバス停ができました。
- data
富谷二ノ関バス停
基本情報
- 所在地
- 宮城県富谷市二ノ関
- 主要用途
- バス停
規模
- 主体構造
- 木造
- 建築面積
- 4.9㎡
- 延床面積
- 3.4㎡
工程
- 設計期間
- 2020年10月、11月
- 工事期間
- 2021年3月、4月
敷地条件
- 特になし