厳選された宮城の材を生かし、舞台のようなカウンターで鮨を握る
仙台出身の親方は、幼少期からの夢である「寿司職人」になるために、予約が数年待ちの東京にある超有名鮨店にて、13年の修行をした後、生まれ育った地元仙台に恩返しと地域活性化に貢献したいと思い帰仙し、自身が握ったお寿司を通して「地元仙台から日本一」を目指す という思いをカタチにしました。
メインのL字のカウンターは宮城県南産のカヤの一枚板のカウンター、背面の棚板は宮城県北の野趣溢れる曲がりのケヤキ、地元の土から土壁を作りたいと左官屋さんに試行錯誤をお願いしたりと、地元の材にこだわり、それらの素材が生きるよう、シンプルにミニマムに空間を構成しました。アプローチのしっくい壁など、出来るところは想いを込めながら自分たちで壁を仕上げ、身の丈にあった今出来る精一杯の想いをカタチにしました。まだ完成ではなく余白も残して、これからの鮨職人としての成長に合わせて、お店の内装や設えも成長していけるような空間を目指しました。
修行先からこだわってきた「畳に足袋のスタイル」は、水や食材の類をひとかけらもこぼさず、汚さず、「カウンターは職人の舞台である」という信念で、板前の所作を多角的に客に披露できるよう、8席のL字カウンターを採用しています。板場の床レベルは、席に座る客と板前の視線が近づくよう設定し、カウンタと板場を舞台と見立て、暗転した客席から職人が鮨を握る姿を楽しめるようにしました。
ファサードは既存のビルのコンクリートを生かし、シンプルな漆喰塗りとした。サインだけが見える。外部から内部を見せない、都会の喧騒から切り離すようなアプローチ空間としています。
サインのガラスは、乳白色の気泡の入った柔らかな風合いの貴重な手作りのガラスになります。
お店奥の小さな床の間には、メインの土壁よりさらに土の比率を上げた野趣溢れる土壁に stained glass Ginga の古い結霜ガラスで作られた灯りを合わせました。
- data
鮨 いわ貴
基本情報
- 所在地
- 仙台市青葉区上杉3丁目3−32 レーヴテラス上杉 101
- 主要用途
- 鮨店
規模
- 構造
- 鉄筋コンクリート造
- 延床面積
- 54.31m2
工程
- 設計期間
- 2024年 8月~2024年9月
- 工事期間
- 2024年 10月~2024年11月
敷地条件
- ステンドグラス:stained glass_ginga
- 左官:原田左官工業所
- 特になし
写真
窪田 隼人